マイル先生

肺癌治療とポイ活に勤しむ毎日

非小細胞肺癌 stageⅢ(A・B) 化学放射線同時併用療法について

こんにちはマイル先生です.

 

今回は化学放射線同時併用療法について説明します.

 

その名の通り,化学療法(抗がん剤)と放射線治療を同時におこなう治療で,主に非小細胞肺癌の3期(=stageⅢA~B)の患者さんに対して一般的におこなわれる治療です.

 

stageⅢでは,手術以外に,ほかの治療とどちらが適切か総合的に判断し,治療方針が決定されます.手術不能と判断された場合の標準治療として選択されるのが化学放射線同時併用療法です.

 

その他,”同時”併用が困難な場合に一方を先行し,他方を後からおこなう逐次併用という治療方法,また状況によって放射線単独,化学療法単独でおこなう場合もあります.

 

今回は標準治療である化学放射線同時併用療法について解説します.

 

治療スケジュールについて

化学放射線同時併用療法は一般的に6週間程度で実施されることが一般的です.

放射線については基本的に平日5日間×6週間=30回照射をおこないます.祝日や連休中の対応については病院ごとにローカルルールが存在しますがちなみに当院は大型連休以外は基本的にスキップされ,その分は後日に照射をおこなう,という方法をとっています.

化学療法についてはレジメン(=抗がん剤の種類)により異なりますが,

・4週間のサイクルで2コース

・1週間のサイクルで6コース

放射線照射に合わせて毎日投与

の3パターンになります.具体的な抗がん剤の種類については別の記事(※作成中)で比較してありますのでご覧ください.

 

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治療スケジュール例(毎週投与の抗がん剤の場合)

 

 

副作用について

気になるのが副作用だと思います.まず抗がん剤による副作用として食欲低下,吐き気,骨髄抑制(白血球,赤血球,血小板の産制能力が一時的に低下)等が代表的なものになります.

また,放射線治療による副作用が問題となることも多く,程度に個人差はありますが放射線性食道炎が出現した場合は疼痛により嚥下が困難となったり,放射線性肺炎については照射中~照射後半年程度までは出現する可能性があります.

食道炎については治療中盤から症状が出始め,治療終了後2~4週間で症状は沈静化していきます.一方で,放射線性肺炎はときに重症化することがありステロイドの全身投与が必要になるケースや,ときに致命的な経過をたどる可能性もあるため注意が必要です.

 

治療終了後について

6週間の治療を完遂した後は2022年現在では維持療法をおこなうことが一般的です.治療方法としてはイミフィンジ(一般名デュルバルマブ)というお薬を2週間間隔で1年間投与します.ただし投与にはいくつか条件があり,化学放射線同時併用療法により腫瘍が制御できていること(=大きくなっていないこと)や放射線性肺炎,間質性肺炎等の合併症,併存症の程度等により投与を回避する場合もあります.

 

以上が化学放射線同時併用療法の概要になります.疾患,治療に対しての不安もあるかと思いますが,理解を深めながら治療に取り組んでいきましょう.